#11 レンズ選びのポイント 前編
2009/02/15 Sun [Edit]

Canon EOS 30D + Canon EF-S60mm f/2.8 Macro USM
狭い家の中で撮ることがほとんどなのに望遠レンズは不向きです。また、運動会で走る子供をマクロレンズで追いかけるのも無理があります。レンズはそれぞれのシーンに合ったタイプを選ぶことが大切。今回はそんなレンズ選びのポイントについてお話ししてみたいと思います。
レンズ交換が必要なわけ撮りたいイメージに合わせて最適なレンズに付け替えられる。これがコンデジにはないデジイチのアドバンテージです。レンズを交換することで別のカメラを手に入れたと錯覚するほど全く違ったイメージを撮影することができます。例えば下のようなクローズアップ写真を撮りたいと思っても、

Canon EOS 30D + Canon EF-S60mm f/2.8 Macro USM
標準ズームレンズ1本しか持っていなかったとしたら、目一杯寄ったとしてもおそらく下の写真くらいが限界でしょう。

Canon EOS 30D + Canon EF24-105mm F4L IS USM
上のクローズアップ写真は60mmマクロレンズを使っています。下の写真は24-105mmの望遠側でピントが合うギリギリまで近寄って撮影しています。(手持ちがこれしかないので・・・^_^;) この2種類のレンズは何が違うのでしょうか?1つはピント合わせが可能な最短距離の違い。2つ目は拡大率の違いです。このようにレンズにはそれぞれ目的にあった特性があります。なぜデジイチはボディとレンズに分離できるのか?そのへんを考えてみると1本だけで済ませてしまうというのはちょっともったいない気がします。
初めてのレンズ選び誰でも最初に買うレンズは悩みます。というかさっぱり分からないという人もいるでしょう。こんな時一番簡単なのは「レンズキット」を選ぶこと。レンズキットには一般的に使用頻度の多い焦点距離のズームレンズがセットされた状態で販売されています。望遠レンズとセットになった「ダブルズームキット」を選べば、マクロを除いた一般撮影でまず困ることはないでしょう。・・・
と、簡単に終わらせてしまってはこのコラムでお話しする意味がありませんね。少しでも上達したいと思われている人のためのコラムですから、ボクなりのレンズ選びのポイントについてお話ししてみたいと思います。しつこいようですが、これじゃなきゃいけないという訳ではないので、あくまで参考程度にお聞きください。
メインレンズを考える初めて買うレンズは当然出番の多いメインとなるレンズを選びたいですよね。特定の被写体しか撮らない。という場合を除いて、とりあえずなんでも無難に撮影できる「標準ズーム」がやっぱりお勧めです。一般的に使用頻度の高い焦点距離は28-105mm前後ではないかと思います。これをAPS-Cに置き換えると、17.5-65.6mmになります。このことからAPS-Cのデジイチの場合、17-70mm前後のズームレンズをメインレンズとして考えるといいかもしれません。
高倍率ズームってほんとに便利?超広角から超望遠まで1本で幅広くカバーできるズームレンズのことを「高倍率ズームレンズ」と呼んでいます。多くの人は、この高倍率ズームレンズを使えば1本で事足りるし便利♪と思っているのではないでしょうか。確かにその通り、何本も交換レンズを持って歩くのはすごく大変ですよね。ですが、「高倍率になるほど、その構造上の問題から総合的な写りに対するクオリティは失われていく。」ということはご存じですか?最近では焦点距離が18mmの広角から270mmの望遠まで1本でこなせる、なんと15倍(270mm÷18mm=15倍)にもなる超高倍率レンズが発売されるようになりました。高倍率レンズは、旅行の時など荷物にならずとても便利なのですが、広角側と望遠側で極端にレンズの長さを変える必要があるためその構造や光学設計に無理が生じ、撮影像に歪みや色収差と呼ばれる色滲みが出やすくなったり、暗いレンズになってしまいがちです。このことから、できるだけレンズの構造や光学設計に負担の少ない低倍率のズームレンズを選ぶと良いでしょう。ボクは5倍を超えないズームレンズというのを一つの目安にしています。
できるだけ明るいレンズを選ぶレンズが明るいとどんなメリットがあるでしょう?「早いシャッタースピードを使えるから手振れ防止になる。」と思われたあなた、正解です! でも、この他にもいくつか利点があります。一眼レフでは、レンズを通った光をファインダーから直接見ていることになり、レンズの明るさ(絞り開放値)によってはファインダーの明るさも変わってきます。つまり、レンズの明るさは写りに影響するだけでなくファインダーの視認性にも影響するということです。薄暗い場所などでは特に、暗いレンズ(絞り開放値F5.6以上など)を使うとピントが合っているのかどうか確認しにくい場合もあります。下のイメージは、絞り開放値F2.8のレンズを付けた状態でファインダーを覗いた場合(左)と、F5.6の絞り開放値であるレンズを使った場合(右)の見え方の違いを画像処理ソフトを使って擬似的に作り出したものです。

このように明るいレンズは視認性も良く、ファインダーを覗いていても気持ちの良いものです。また、明るいレンズを使うとピントの合う範囲が狭くなり、主役を強調しつつ柔らかい印象の写真を撮りやすくなります。
デジタル"対応"レンズか、デジタル"専用"レンズか前回の「#10 APS-Cとデジタル専用レンズ」でも少し触れましたが、フルサイズとAPS-Cの両方に使えるレンズを「デジタル"対応"レンズ」、APS-Cでしか使えないレンズを「デジタル"専用"レンズ」と呼んでいます。APS-Cでの使用に限定されるなら軽くてコンパクト、しかも手振れ補正機能付きの最新デジタル"専用" レンズがお勧めです。逆に、近い将来もう少しいいカメラに買い換えたいと思っているのであれば、ミドルクラスのフルサイズ移行を見据えてデジタル"対応"レンズを選んでおいた方が無難でしょう。
近くに寄れるほど用途は広がるそのレンズでピント合わせが可能な最短(最も被写体に近づける)距離のことを「最短撮影距離」と言います。レンズカタログでは「撮影距離範囲:0.35m〜∞」などと表記されていることもありますが、この場合の最短撮影距離は35cm離れた場所から無限遠までピント合わせが可能ということになります。また、この数値はレンズの先端からの距離ではなく、イメージセンサー面からの距離を示しています。ほとんどのデジイチにはボディ上部にイメージセンサーの位置を示す下の写真のようなマークが印刷されているので自分のカメラを確認してみましょう。

ちなみにレンズ先端からの最短撮影距離のことを「ワーキングディスタンス」と言い、あまり近くまで寄りすぎると逃げてしまうような昆虫などを撮影する場合は、このワーキングディスタンスが長い方が使いやすいと言われています。
カタログに掲載された最短撮影距離で注意しなければならないのは、ズームレンズの中には広角側と望遠側で最短撮影距離が同じとは限らないということ。最短撮影距離:0.3mと記載されていても、広角側では30cmまで寄れるのに、望遠側では60cmまでしか寄れないというレンズもあるので注意してください。
同じ焦点距離を持つレンズでも最短撮影距離が違う場合があり、当然、最短撮影距離が短いほど近くに寄って撮影できるので利用範囲が広がります。このことから近くのモノを撮影することが多い場合には、より最短撮影距離が短いレンズを選ぶというのも一つの選択要素になるでしょう。
マクロレンズは最短撮影距離の非常に短いレンズですが、このレンズについてはまた別の機会に詳しくお話ししたいと思います。
次回「レンズ選びのポイント 後編」に続く...
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