#10 APS-Cとデジタル専用レンズ
2009/01/31 Sat [Edit]

デジタル一眼レフカメラに使える交換レンズには大きく分けて2種類あります。今回はボディーに搭載されたイメージセンサー(影像素子)の種類によって分けられるその違いと関係についてお話してみたいと思います。
35mmフルサイズとAPS-Cデジタルカメラ本体の部品で最も重要となるのが、「イメージセンサー」です。イメージセンサーとは旧来のフィルムカメラに使われていたフィルムに変わる電子部品のことで、「CCD(シー・シー・ディー)」や「CMOS(シーモス)」などと呼ばれることもあります。このイメージセンサーがレンズを通して受け止めた光を画像に変換する重要な役割を担います。そしてデジタルカメラの画像再現性能はこのイメージセンサーによって左右され、サイズが大きいほど光を受ける面積が大きく多くの情報を取り入れることができます。
イメージセンサーを比較する基準となるのが、フィルム式一眼レフカメラ用として普及してきた35mmフィルムサイズと同じ露光面を持つ24mm×36mmのイメージセンサーサイズで、これを「フルサイズ」と呼んでいます。しかし、フルサイズのイメージセンサーは量産する上でコストがかかりすぎるなど、その生産性の難しさから現在はプロやハイアマチュア向けの高級機種にしか採用されていません。
これに対しコンシューマ向けの普及機には、フルサイズより約40%ほど小さい「APS-C」と呼ばれるイメージセンサーが主流になっています。(下の表参照)
| APS-C サイズのデジイチ | フルサイズのデジイチ |
| Canon EOS Kiss X2 | Canon EOS 5D Mark II |
| Canon EOS 40D | Canon EOS-1Ds Mark III |
| Canon EOS 50D | Nikon D700 |
| Nikon D90 | Nikon D3 |
| Nikon D300 | SONY α900 |
下の図は代表的なイメージセンサーを並べてみたものです。一番下のイメージセンサーは、昨年発売されたコンパクトデジカメに最も多く採用されている 1/2.33型イメージセンサーです。フルサイズと比較すると、いかに小さいかが分かって頂けると思います。また、APS-Cとフルサイズの違いにも注目してください。

APS-Cサイズのイメージセンサーを採用するにあたって新たな問題も出てきました。特に広角レンズでは、旧来のレンズ設計のままAPS-Cのイメージセンサーに最適化しようとすると、その工学的な違いや物理的な構造の障害から、巨大なレンズになってしまいます。そこで、APS-C専用に再設計したのが「デジタル専用レンズ」です。メーカーによって呼び名は微妙に異なりますが、APS-Cにしか使えないレンズという意味では同じです。Canonでは「EF-S」、Nikonでは「DX」と表記されています。オリンパスやパナソニックが採用している4/3型イメージセンサーを使ったフォーザーズシステムという規格もありますが、このコラムでは最も普及率の高いAPS-Cを対象に話しを進めます。
それではAPS-Cとフルサイズでの写りの違いについて見てみましょう。同じレンズ、同じ被写体を撮影したと仮定して、フルサイズとAPS-Cサイズを比較すると下の図のようになります。

ご覧の通りAPS-Cはフルサイズより小さいため、その周辺部分は受光しないことになり、これを同じサイズのプリント紙一杯に収まるよう印刷した場合、APS-Cのほうが約1.6倍拡大されることになります。(APS-Cのセンサーサイズにはメーカーや機種により多少の違いがありるため倍率に差がありますが、このコラムではCanon製を基準とした1.6倍として説明していきます)

カタログに記載されている焦点距離はフルサイズが基本なので、APS-Cではその理論的な焦点距離をフルサイズに置き換えたい場合1.6倍する必要があります。これを「35mm判換算」、「フルサイズ換算」などと呼び、各社のレンズカタログには、APS-Cで使用した場合の焦点距離も併せて記載されているので参考にすると良いでしょう。
| 35mm判の焦点距離 | APS-C装着時の焦点距離 | |
| 30mm | → | 48mm |
| 50mm | → | 80mm |
| 100mm | → | 160mm |
| 200mm | → | 320mm |
| 300mm | → | 480mm |
レンズは資産レンズ交換式一眼レフカメラのレンズとボディの接合部分を「マウント」と呼んでいます。CanonやNikonのデジイチでは、このマウント部分の形状をフィルム時代のカメラと共通化させることで、旧来の35mmフィルム一眼レフカメラに使ってきたレンズをAPS- Cを採用したデジイチにそのまま使えるよう設計されています。しかしデジタル専用として開発されたレンズは、フルサイズのデジイチや35mmフィルムカメラでは使うことができません。昔使っていた35mmフィルム一眼レフでも使いたいとか、近い将来フルサイズのデジイチにスイッチしたいと思っている方は注意しましょう。
今後もイメージセンサーサイズはフルサイズとAPS-C(フォーサーズ含む)の2極化で進化していくと思われます。そして、女性や初心者向けのエントリーカメラには引き続きAPS-Cが採用され、ハイアマチュアやプロ向けのデジイチにはフルサイズが主流になっていくでしょう。レンズはボディーが替わっても使い続けることができる一種の資産です。近い将来「上達したらもう少し良いカメラが欲しいんだよなぁ。」と考えている人は、フルサイズ対応のレンズを選ばれた方が結果的に長く使えることになると思います。軽量・コンパクトと、携帯性を重視する人はデジタル専用レンズを選ばれた方が少ない投資で写りの良いレンズが揃えられると思います。
フルサイズのメリット・デメリット- ボケ味の効果がAPS-Cに比べ豊かに表現することができます。
- イメージセンサーの受光面積がAPS-Cに比べ約2.5倍大きいので引き延ばしや高感度に有利になります。
- 広角レンズでは特にレンズ効果による物理的な特性で、外周ほど暗くなる「周辺減光」という現象が見られるようになります。この現象をデジタル処理で取り除くことができるソフトウェアまで存在しますが、これをレンズの味として捉えるボクのような人も少なくありません。
APS-Cののメリット・デメリット- コンパクトで軽量なレンズを選択できます。
- 新しくデジタルカメラ専用に開発されているので、フルサイズ対応の旧製品に比べデジイチに最適化されたレンズが選べます。
- フルサイズに比べ同じレンズを使っても焦点距離が長く取れるので、望遠側が有利になります。これにより、比較的安価なレンズや望遠レンズの中でもコンパクトな物が選べます。
- フルサイズ用のレンズを使った場合、周辺部分は切り取られてしまうため、隅々まで有効に利用できないことになります。反面、周辺減光部分が切り取られるため、レンズのおいしい部分のみを有効に使えるともいえます。
- フルサイズ換算で1.6倍されるため、広角側が不利になります。
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