#9 レンズを知る
2009/01/17 Sat [Edit]

デジイチビギナーから必ずといってよいほど聞かれるのが「どのレンズを買ったらいいの?」という質問。確かに無数にある交換レンズの中から、自分にあった最適な1本を見つけ出すのは難しいことだと思います。店員に勧められるままレンズキット(ボディと本体を組み合わせたセット品)を買われている人も少なくないでしょう。もちろんレンズキットが悪いと言っているわけではありません。そもそも"撮ろうとしている被写体やシーンにそのレンズは適しているか"ということが重要なのであって、レンズに合わせて被写体を選ぶわけではないのです。そこで何回かに分けて、レンズについてのお話しをしてみようと思います。これからデジイチを買われる人、レンズを買い足そうとしている人にとって少しでも参考になれば幸いです。


レンズカタログを見ると「EF35mm F1.4L USM」、「Ai AF Nikkor 35mm F2D」といった具合にアルファベットと数字が組み合わされた名称で掲載されていると思います。各メーカーによって表示の仕方は違いますがここから読み取るべき基本情報は"焦点距離"と"絞り解放値"の2点です。
焦点距離とはレンズに入った光りが像を結ぶまでの距離を言い、単位はmm(ミリ)で表します。アルファベットの小文字の"f"を付けて「f=50mm」などと表示することもあります。焦点距離が短い(数字が小さい)ほど広い範囲を撮影することができ、長い(数字が大きい)ほど拡大して撮影できると覚えておきましょう。

絞り解放値はそのレンズが一定時間にとらえることのできる光の量を示すもので単位をアルファベットの"F"で表します。F1.4、F2.8、F5.6、F11、F22 などがあり、この数字が小さいほど光をたくさん通すことができる明るいレンズとなります。絞りについては、別の機会にもう少し詳しくお話しするつもりですが、ここでは単にレンズの明るさを示す数字と覚えておきましょう。

EF50mm F1.4 USM
焦点距離が50mmに固定された単焦点レンズで絞り解放値はF1.4です。
EF24-105mm F4L IS USM
焦点距離を24mm~105mmの間で変化させることのできるズームレンズで、絞り開放値はF4です。
AF-S DX NIKKOR 18-105mm F3.5-5.6G ED VR
焦点距離が18mm~105mmのズームレンズで、絞り開放値がF3.5~F5.6の間で変化するレンズです。
え?レンズの明るさも変化するの?と思われた方、するどい!
廉価版のズームレンズは、その構造上の理由から絞り開放値が変化する物があります。「18-105mm F3.5-5.6」のレンズの場合、焦点距離が18mm側では絞り開放値がF3.5になり、105mm側ではF5.6と暗くなるという意味になります。

焦点距離を変えられるレンズをズームレンズと呼び、焦点距離が固定されたレンズを単焦点レンズと呼んでいます。広角域ズームレンズ、標準域ズームレンズ、望遠域ズームレンズ、広角から望遠まで幅広く対応できる高倍率ズームレンズなどがあります。


焦点距離が長くなればなるほど、ほんのわずかな動きや振動で手振れがおきやすくなります。このため手持ちでの撮影は困難で、早いシャッタースピードが選べないシーンでは三脚に固定して撮影することがほとんどでした。しかし最近ではレンズやボディ本体に手振れを補正してくれる機構が内蔵された製品も多く見られるようになり、手持ちでもある程度の手振れを抑えた撮影が可能になりました。CanonやNikonの場合、レンズ内に手振れ補正機構を内蔵しているため、専用レンズ(Canonでは"IS"、Nikonでは"VR"と表示されています)でしか手振れを抑えることはできません。これに対しPENTAXや OLYMPUSのデジイチはボディ本体に手振れ補正機構を内蔵しているため、どのレンズを付けても手振れ補正の恩恵を受けることができます。


- 広角レンズ
焦点距離が35mm以下のレンズを言い、文字通り広い範囲を写すのに適しているレンズです。狭い部屋の中を隅々まで写したい場合や、遠近感を強調したいときなどに使います。ピントの合う距離(範囲)が広く、手前から奥までピントの合った写真を撮りやすいレンズです。
- 標準レンズ
35mm フィルムのサイズ24mm×36mmの対角の長さである43.3mmに近い、焦点距離50mmのレンズを指します。数あるレンズの中で焦点距離が決まって いる唯一のレンズです。ボクが子供の時分には、人間の目で見た画に一番近いと言われていましたが、どうやらこの情報は間違いのようで、ズームレンズがな かった時代にメーカーが標準で付属していたレンズというのが正しいようです。
- 望遠レンズ
焦点距離が85mm以上のレンズを指し、遠くのものをあたかも近くにあるかのように拡大し写すことができるレンズです。ポートレイト撮影などに重宝され る近接望遠から、スポーツシーンや野鳥撮影等に使われる超望遠レンズなどがあり、焦点距離が長くなるほどピントの合う距離が狭くなります。また近い物には ピントが合わせにくくなるという特徴を持ちます。
- マクロレンズ
被写体を至近距離から撮影することができるレンズ。花や昆虫など、小さな物を大きく写したいときに使います。ピンとの合う範囲が狭く、近接撮影ではよりしびやなピント合わせが要求されるため、手動でのピント合わせを多用することもあります。
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