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#13 絞りとピントの深い関係 <しくみ編>

2009/09/12 Sat [Edit]

花  

ボクの作品の中には、上の写真のように前後が極端に“ボケ”た写真がよく出てきます。ここで言う“ボケ”とはピントがぼやけているの“ボケ”です。つまりピントが合っていない部分を“ボケ”と呼んでいるわけです。逆に上の写真は、「ピントが合っている範囲が狭い」とも言えます。では、ピントを合う範囲を狭くするためにはどうすればいいでしょう?答えは“絞り”にあります。ということで今回から数回に分けて、ボケ味を生かした撮影方法についてお話してみたいと思います。

絞りのしくみ

“絞り”はレンズの中に組み込まれている薄い金属羽根を重ねてできたおよそ円形の穴のことで、人間で例えると瞳孔と同じ働きをする重要な機構部品です。この穴を大きく開くほど、通過する光の量は多くなり明るく写ります。逆に小さく閉じていると暗くなるといった具合に、穴の大きさを変えることでレンズを通過する光の量を調節することができます。通常、開くことを”開く”、閉じることを”絞る”と言い、「絞り開放」という場合は、そのレンズで開くことのできる最大開放状態のことを指します。

絞り羽根

絞りの単位

写真の世界では、この絞りの大きさを表す単位を「F値(えふち)」と呼び、F2.8、F5.6のようにFを付けて表します。F値は、数字が小さい方を開放状態、大きい方を絞った状態となります。

F 値に使われている数字を見ると、なんでこんな半端な数値なの?ときっと不思議に思われるでしょう。でもこの数字には一定の法則があります。F1の時に絞りを通過する光の量を半分にした場合、F1.4となり、またこの半分ではF2、そのまた半分でF2.8、F4、 F5.6、F8、F11、F16、F22・・・という具合に√2の倍数刻みで表示したものをF値として扱います。また、この倍数刻み1つ分を「1段」と呼び、設定されている現在のF値より露出補正を使って2倍明るくしたい場合は「1段開く」または「+1補正」、逆に1/2の明るさにしたい場合は「1段絞る」または「-1補正」と言い表します。カメラ雑誌などを見ているとこの表現はよく出てくるので、覚えておくといいでしょう。

F値

被写界深度

絞りには光の量を調節する他に、もう一つ大切な役割があります。それが今回の主題でもある「絞りとピントの深い関係」です。

下の写真は、等間隔に配置した乾電池の手前から3本目にピントを合わせた状態で、絞り値を変えて撮影した写真です。(クリックで別ウィンドウ拡大表示)絞った状態ほど手前から奥までピントが合っているのがおわかりいただけるでしょうか。

被写界深度の基本

このように、F値が小さい(開く)ほど、ピントの合う前後距離が狭まり、逆に大きい(絞る)ほど広くなるという性質があります。この手前から奥までピントの合う範囲のことを「被写界深度(ひしゃかいしんど)」と言い、狭いほど「浅い」、広いほど「深い」と言い表します。

初めのうちは絞りの数字が大きい方が、被写界深度が浅いんだっけ?深いんだっけ?と、分からなくなってしまうこともあるでしょう。そんなときは「だいふかしょうあさ」と、呪文のように覚えておきましょう。

下の2枚の写真は、同じ焦点距離(50mm)と、F値(F1.4)で、被写体までの距離をそれぞれ変えて撮影した写真です。[A]は最短撮影距離ギリギリまで寄って撮影したもの。[B]は3mほど離れた場所から撮影した画像を、[A]に近い範囲でトリミングしています。

被写界深度(距離1)
[A]

被写界深度(距離2)
[B]

カメラの設定は同じなのに、被写体までの距離が変わっただけでピントの合う範囲が変わることがおわかりいただけるでしょうか?

このように被写界深度は被写体までの距離やレンズの焦点距離によっても変わってきます。
被写体までの距離が近いほど被写界深度が浅く、遠いほど深くなるという性質があります。また、焦点距離が長いほどその効果は大きくなる。ということも覚えておきましょう。

次回は実際にカメラを操作しながら被写界深度を理解する体験編をお届けしようと思います。

過去のデジイチ術

#12 レンズ選びのポイント 後編

2009/04/05 Sun [Edit]

テクスチャ
Canon EOS 5D Mark II + Canon EF24-105mm F4L IS USM

212レンズシステムを考える

 様々なシーンに対応できるよう、自分が最も使うことの多い焦点距離を中心に揃えたレンズ群のことを「レンズシステム」と呼んでいます。人それぞれ差が出る部分でもあり、自分なりにこのレンズシステムをどう組み立てるかがレンズ選び最大のポイントと言えるでしょう。

ボクのレンズシステムを使用頻度の多い順に並べるとこんな感じです。
  • CANON EF50mm F1.4 USM
    • 室内撮影やポートレート
  • CANON EF24-105mm F4L IS USM
    • 室内・屋外でのスナップなどオールマイティに使用
      手振れ補正が心強い
  • CANON EF-S60mm F2.8 マクロ USM
    • 花・小物・料理などの物撮り
  • CANON EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM
    • 狭い空間での集合写真や遠近感を強調した風景写真
  • CANON EF70-300mm F4-5.6 IS USM
    • 公園や運動会シーンで活躍、手振れ補正が心強い
単焦点の50mmと60mmマクロを除いたズームレンズ3本の焦点距離を見てください。10mm〜300mmまで、ほぼ切れ目なくカバーできることがお分かりいただけるでしょうか?これをAPS-Cの焦点距離に換算にすると、16mmの超広角から480mmの超望遠まで幅広く対応できることになります。また、ズームレンズ
の倍率を見ると24-105mmが4.38倍(105÷24≒4.38)、70-300mmでも4.29倍(300÷70≒4.29)と、5倍以下になっていることにも注目してください。
レンズ焦点距離
屋外で持ち歩く場合など、被写体が特定できない時は、24-105mmをメインレンズ。室内撮影の場合は明るさを確保するため、50mmF1.4を多用しています。今のところこのレンズシステムで困ることはありません。(欲を言うときりはありませんが・・・)

212純正?レンズメーカー製?

純正レンズかレンズメーカー製か?という話をよく耳にします。上のリストを見てお分かりいただけるように、ボクは全てCanon純正レンズで揃えています。純正品なだけにボディとの相性がいいのでは・・・とうい希望的観測からであって、決して純正品の方が良いというわけではありません。一昔前と違ってレンズメーカー製にもAPS-C対応レンズや手振れ補正、超音波モーターの搭載など、純正品に引けを取らない機能を搭載したレンズも数多く登場しています。また、純正品に比べ比較的価格が安いのもレンズメーカー製の魅力です。

同じ焦点距離と明るさを持つ、純正とレンズメーカー製を比較する場合、以下の仕様を比較してみると良いでしょう。
  • 最短撮影距離
    • 数字が少ない方が被写体に近くまで寄れるので有利
  • 超音波モーターの搭載
    • 旧来のオートフォーカス用のモーターに比べ、ピント合わせのスピードが速い
  • 絞り羽の枚数
    • 枚数が多い方がぼけている部分の印象が柔らかくなり綺麗
  • フィルター径
    • 手持ちレンズのフィルター経に合わせておくと、後々便利なことも
  • フルタイムマニュアルフォーカス機構
    • オートフォーカスのスイッチを切り替えなくてもフォーカスリングを回せるので、手動でピント合わせができ、オートフォーカスが苦手な被写体を撮影する時には重宝します。
  • 価格
    • 当然ながら予算ありきですが、価格が高いから良いレンズとは限りません。

212使い分けることで写真は変わる

先にもお話ししたように、何を撮るかによって選ぶレンズは変わります。また、もしボクのレンズシステムと同じ物を揃えたとしても、同じ写真が撮れるわけでもありません。そこが写真の面白くも奥の深いところです。

せっかくデジイチを使うわけですから少しでも綺麗に撮りたいと思うのは自然なこと。何本も持ち歩くのは大変だからと、1本のレンズだけで全てをカバーしようとするのではなく、何を撮りたいのか?その選択筋が多ければ多いほど、それぞれの用途に合ったレンズをうまく使い分けることで写真は変わると思います。

あなたはデジイチで主に何を撮っていますか?(撮りたいですか?) 風景ですか? 人物ですか? ペットですか? スポーツですか? 花ですか? etc... 



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#11 レンズ選びのポイント 前編

2009/02/15 Sun [Edit]

LENS
Canon EOS 30D + Canon EF-S60mm f/2.8 Macro USM

 狭い家の中で撮ることがほとんどなのに望遠レンズは不向きです。また、運動会で走る子供をマクロレンズで追いかけるのも無理があります。レンズはそれぞれのシーンに合ったタイプを選ぶことが大切。今回はそんなレンズ選びのポイントについてお話ししてみたいと思います。

レンズ交換が必要なわけ

 撮りたいイメージに合わせて最適なレンズに付け替えられる。これがコンデジにはないデジイチのアドバンテージです。レンズを交換することで別のカメラを手に入れたと錯覚するほど全く違ったイメージを撮影することができます。例えば下のようなクローズアップ写真を撮りたいと思っても、

60mmマクロ
Canon EOS 30D + Canon EF-S60mm f/2.8 Macro USM

標準ズームレンズ1本しか持っていなかったとしたら、目一杯寄ったとしてもおそらく下の写真くらいが限界でしょう。

24-105mmズーム
Canon EOS 30D + Canon EF24-105mm F4L IS USM

上のクローズアップ写真は60mmマクロレンズを使っています。下の写真は24-105mmの望遠側でピントが合うギリギリまで近寄って撮影しています。(手持ちがこれしかないので・・・^_^;) この2種類のレンズは何が違うのでしょうか?1つはピント合わせが可能な最短距離の違い。2つ目は拡大率の違いです。このようにレンズにはそれぞれ目的にあった特性があります。なぜデジイチはボディとレンズに分離できるのか?そのへんを考えてみると1本だけで済ませてしまうというのはちょっともったいない気がします。

初めてのレンズ選び

 誰でも最初に買うレンズは悩みます。というかさっぱり分からないという人もいるでしょう。こんな時一番簡単なのは「レンズキット」を選ぶこと。レンズキットには一般的に使用頻度の多い焦点距離のズームレンズがセットされた状態で販売されています。望遠レンズとセットになった「ダブルズームキット」を選べば、マクロを除いた一般撮影でまず困ることはないでしょう。・・・

と、簡単に終わらせてしまってはこのコラムでお話しする意味がありませんね。少しでも上達したいと思われている人のためのコラムですから、ボクなりのレンズ選びのポイントについてお話ししてみたいと思います。しつこいようですが、これじゃなきゃいけないという訳ではないので、あくまで参考程度にお聞きください。

メインレンズを考える

 初めて買うレンズは当然出番の多いメインとなるレンズを選びたいですよね。特定の被写体しか撮らない。という場合を除いて、とりあえずなんでも無難に撮影できる「標準ズーム」がやっぱりお勧めです。一般的に使用頻度の高い焦点距離は28-105mm前後ではないかと思います。これをAPS-Cに置き換えると、17.5-65.6mmになります。このことからAPS-Cのデジイチの場合、17-70mm前後のズームレンズをメインレンズとして考えるといいかもしれません。

高倍率ズームってほんとに便利?

 超広角から超望遠まで1本で幅広くカバーできるズームレンズのことを「高倍率ズームレンズ」と呼んでいます。多くの人は、この高倍率ズームレンズを使えば1本で事足りるし便利♪と思っているのではないでしょうか。確かにその通り、何本も交換レンズを持って歩くのはすごく大変ですよね。ですが、「高倍率になるほど、その構造上の問題から総合的な写りに対するクオリティは失われていく。」ということはご存じですか?最近では焦点距離が18mmの広角から270mmの望遠まで1本でこなせる、なんと15倍(270mm÷18mm=15倍)にもなる超高倍率レンズが発売されるようになりました。高倍率レンズは、旅行の時など荷物にならずとても便利なのですが、広角側と望遠側で極端にレンズの長さを変える必要があるためその構造や光学設計に無理が生じ、撮影像に歪みや色収差と呼ばれる色滲みが出やすくなったり、暗いレンズになってしまいがちです。このことから、できるだけレンズの構造や光学設計に負担の少ない低倍率のズームレンズを選ぶと良いでしょう。ボクは5倍を超えないズームレンズというのを一つの目安にしています。

できるだけ明るいレンズを選ぶ

 レンズが明るいとどんなメリットがあるでしょう?「早いシャッタースピードを使えるから手振れ防止になる。」と思われたあなた、正解です! でも、この他にもいくつか利点があります。一眼レフでは、レンズを通った光をファインダーから直接見ていることになり、レンズの明るさ(絞り開放値)によってはファインダーの明るさも変わってきます。つまり、レンズの明るさは写りに影響するだけでなくファインダーの視認性にも影響するということです。薄暗い場所などでは特に、暗いレンズ(絞り開放値F5.6以上など)を使うとピントが合っているのかどうか確認しにくい場合もあります。下のイメージは、絞り開放値F2.8のレンズを付けた状態でファインダーを覗いた場合(左)と、F5.6の絞り開放値であるレンズを使った場合(右)の見え方の違いを画像処理ソフトを使って擬似的に作り出したものです。

ファインダー明るさ比較

このように明るいレンズは視認性も良く、ファインダーを覗いていても気持ちの良いものです。また、明るいレンズを使うとピントの合う範囲が狭くなり、主役を強調しつつ柔らかい印象の写真を撮りやすくなります。

デジタル"対応"レンズか、デジタル"専用"レンズか

 前回の「#10 APS-Cとデジタル専用レンズ」でも少し触れましたが、フルサイズとAPS-Cの両方に使えるレンズを「デジタル"対応"レンズ」、APS-Cでしか使えないレンズを「デジタル"専用"レンズ」と呼んでいます。APS-Cでの使用に限定されるなら軽くてコンパクト、しかも手振れ補正機能付きの最新デジタル"専用" レンズがお勧めです。逆に、近い将来もう少しいいカメラに買い換えたいと思っているのであれば、ミドルクラスのフルサイズ移行を見据えてデジタル"対応"レンズを選んでおいた方が無難でしょう。

近くに寄れるほど用途は広がる

 そのレンズでピント合わせが可能な最短(最も被写体に近づける)距離のことを「最短撮影距離」と言います。レンズカタログでは「撮影距離範囲:0.35m〜∞」などと表記されていることもありますが、この場合の最短撮影距離は35cm離れた場所から無限遠までピント合わせが可能ということになります。また、この数値はレンズの先端からの距離ではなく、イメージセンサー面からの距離を示しています。ほとんどのデジイチにはボディ上部にイメージセンサーの位置を示す下の写真のようなマークが印刷されているので自分のカメラを確認してみましょう。

イメージセンサー位置表示

ちなみにレンズ先端からの最短撮影距離のことを「ワーキングディスタンス」と言い、あまり近くまで寄りすぎると逃げてしまうような昆虫などを撮影する場合は、このワーキングディスタンスが長い方が使いやすいと言われています。

カタログに掲載された最短撮影距離で注意しなければならないのは、ズームレンズの中には広角側と望遠側で最短撮影距離が同じとは限らないということ。最短撮影距離:0.3mと記載されていても、広角側では30cmまで寄れるのに、望遠側では60cmまでしか寄れないというレンズもあるので注意してください。

同じ焦点距離を持つレンズでも最短撮影距離が違う場合があり、当然、最短撮影距離が短いほど近くに寄って撮影できるので利用範囲が広がります。このことから近くのモノを撮影することが多い場合には、より最短撮影距離が短いレンズを選ぶというのも一つの選択要素になるでしょう。

マクロレンズは最短撮影距離の非常に短いレンズですが、このレンズについてはまた別の機会に詳しくお話ししたいと思います。

次回「レンズ選びのポイント 後編」に続く...


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#10 APS-Cとデジタル専用レンズ

2009/01/31 Sat [Edit]

Canon EF-S10-22mm f/3.5-4.5 USM

 デジタル一眼レフカメラに使える交換レンズには大きく分けて2種類あります。今回はボディーに搭載されたイメージセンサー(影像素子)の種類によって分けられるその違いと関係についてお話してみたいと思います。

35mmフルサイズとAPS-C

 デジタルカメラ本体の部品で最も重要となるのが、「イメージセンサー」です。イメージセンサーとは旧来のフィルムカメラに使われていたフィルムに変わる電子部品のことで、「CCD(シー・シー・ディー)」や「CMOS(シーモス)」などと呼ばれることもあります。このイメージセンサーがレンズを通して受け止めた光を画像に変換する重要な役割を担います。そしてデジタルカメラの画像再現性能はこのイメージセンサーによって左右され、サイズが大きいほど光を受ける面積が大きく多くの情報を取り入れることができます。

 イメージセンサーを比較する基準となるのが、フィルム式一眼レフカメラ用として普及してきた35mmフィルムサイズと同じ露光面を持つ24mm×36mmのイメージセンサーサイズで、これを「フルサイズ」と呼んでいます。しかし、フルサイズのイメージセンサーは量産する上でコストがかかりすぎるなど、その生産性の難しさから現在はプロやハイアマチュア向けの高級機種にしか採用されていません。

これに対しコンシューマ向けの普及機には、フルサイズより約40%ほど小さい「APS-C」と呼ばれるイメージセンサーが主流になっています。(下の表参照)

APS-C サイズのデジイチ
フルサイズのデジイチ
Canon EOS Kiss X2Canon EOS 5D Mark II
Canon EOS 40DCanon EOS-1Ds Mark III
Canon EOS 50DNikon D700
Nikon D90Nikon D3
Nikon D300SONY α900


 下の図は代表的なイメージセンサーを並べてみたものです。一番下のイメージセンサーは、昨年発売されたコンパクトデジカメに最も多く採用されている 1/2.33型イメージセンサーです。フルサイズと比較すると、いかに小さいかが分かって頂けると思います。また、APS-Cとフルサイズの違いにも注目してください。

イメージセンサーサイズ比較

 APS-Cサイズのイメージセンサーを採用するにあたって新たな問題も出てきました。特に広角レンズでは、旧来のレンズ設計のままAPS-Cのイメージセンサーに最適化しようとすると、その工学的な違いや物理的な構造の障害から、巨大なレンズになってしまいます。そこで、APS-C専用に再設計したのが「デジタル専用レンズ」です。メーカーによって呼び名は微妙に異なりますが、APS-Cにしか使えないレンズという意味では同じです。Canonでは「EF-S」、Nikonでは「DX」と表記されています。オリンパスやパナソニックが採用している4/3型イメージセンサーを使ったフォーザーズシステムという規格もありますが、このコラムでは最も普及率の高いAPS-Cを対象に話しを進めます。

 それではAPS-Cとフルサイズでの写りの違いについて見てみましょう。同じレンズ、同じ被写体を撮影したと仮定して、フルサイズとAPS-Cサイズを比較すると下の図のようになります。

APS-Cとフルサイズの大きさ比較

ご覧の通りAPS-Cはフルサイズより小さいため、その周辺部分は受光しないことになり、これを同じサイズのプリント紙一杯に収まるよう印刷した場合、APS-Cのほうが約1.6倍拡大されることになります。(APS-Cのセンサーサイズにはメーカーや機種により多少の違いがありるため倍率に差がありますが、このコラムではCanon製を基準とした1.6倍として説明していきます)

APS-Cとフルサイズ プリントサイズ比較

カタログに記載されている焦点距離はフルサイズが基本なので、APS-Cではその理論的な焦点距離をフルサイズに置き換えたい場合1.6倍する必要があります。これを「35mm判換算」「フルサイズ換算」などと呼び、各社のレンズカタログには、APS-Cで使用した場合の焦点距離も併せて記載されているので参考にすると良いでしょう。

35mm判の焦点距離 APS-C装着時の焦点距離
30mm48mm
50mm80mm
100mm160mm
200mm320mm
300mm480mm


212レンズは資産

 レンズ交換式一眼レフカメラのレンズとボディの接合部分を「マウント」と呼んでいます。CanonやNikonのデジイチでは、このマウント部分の形状をフィルム時代のカメラと共通化させることで、旧来の35mmフィルム一眼レフカメラに使ってきたレンズをAPS- Cを採用したデジイチにそのまま使えるよう設計されています。しかしデジタル専用として開発されたレンズは、フルサイズのデジイチや35mmフィルムカメラでは使うことができません。昔使っていた35mmフィルム一眼レフでも使いたいとか、近い将来フルサイズのデジイチにスイッチしたいと思っている方は注意しましょう。

 今後もイメージセンサーサイズはフルサイズとAPS-C(フォーサーズ含む)の2極化で進化していくと思われます。そして、女性や初心者向けのエントリーカメラには引き続きAPS-Cが採用され、ハイアマチュアやプロ向けのデジイチにはフルサイズが主流になっていくでしょう。レンズはボディーが替わっても使い続けることができる一種の資産です。近い将来「上達したらもう少し良いカメラが欲しいんだよなぁ。」と考えている人は、フルサイズ対応のレンズを選ばれた方が結果的に長く使えることになると思います。軽量・コンパクトと、携帯性を重視する人はデジタル専用レンズを選ばれた方が少ない投資で写りの良いレンズが揃えられると思います。

212フルサイズのメリット・デメリット
  • ボケ味の効果がAPS-Cに比べ豊かに表現することができます。
  • イメージセンサーの受光面積がAPS-Cに比べ約2.5倍大きいので引き延ばしや高感度に有利になります。
  • 広角レンズでは特にレンズ効果による物理的な特性で、外周ほど暗くなる「周辺減光」という現象が見られるようになります。この現象をデジタル処理で取り除くことができるソフトウェアまで存在しますが、これをレンズの味として捉えるボクのような人も少なくありません。
212APS-Cののメリット・デメリット
  • コンパクトで軽量なレンズを選択できます。
  • 新しくデジタルカメラ専用に開発されているので、フルサイズ対応の旧製品に比べデジイチに最適化されたレンズが選べます。
  • フルサイズに比べ同じレンズを使っても焦点距離が長く取れるので、望遠側が有利になります。これにより、比較的安価なレンズや望遠レンズの中でもコンパクトな物が選べます。
  • フルサイズ用のレンズを使った場合、周辺部分は切り取られてしまうため、隅々まで有効に利用できないことになります。反面、周辺減光部分が切り取られるため、レンズのおいしい部分のみを有効に使えるともいえます。
  • フルサイズ換算で1.6倍されるため、広角側が不利になります。


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#9 レンズを知る

2009/01/17 Sat [Edit]

EF 28-70mm USM

 デジイチビギナーから必ずといってよいほど聞かれるのが「どのレンズを買ったらいいの?」という質問。確かに無数にある交換レンズの中から、自分にあった最適な1本を見つけ出すのは難しいことだと思います。店員に勧められるままレンズキット(ボディと本体を組み合わせたセット品)を買われている人も少なくないでしょう。もちろんレンズキットが悪いと言っているわけではありません。そもそも"撮ろうとしている被写体やシーンにそのレンズは適しているか"ということが重要なのであって、レンズに合わせて被写体を選ぶわけではないのです。そこで何回かに分けて、レンズについてのお話しをしてみようと思います。これからデジイチを買われる人、レンズを買い足そうとしている人にとって少しでも参考になれば幸いです。

カタログを読む

レンズカタログ

 レンズカタログを見ると「EF35mm F1.4L USM」、「Ai AF Nikkor 35mm F2D」といった具合にアルファベットと数字が組み合わされた名称で掲載されていると思います。各メーカーによって表示の仕方は違いますがここから読み取るべき基本情報は"焦点距離""絞り解放値"の2点です。

 焦点距離とはレンズに入った光りが像を結ぶまでの距離を言い、単位はmm(ミリ)で表します。アルファベットの小文字の"f"を付けて「f=50mm」などと表示することもあります。焦点距離が短い(数字が小さい)ほど広い範囲を撮影することができ、長い(数字が大きい)ほど拡大して撮影できると覚えておきましょう。

焦点距離比較

 絞り解放値はそのレンズが一定時間にとらえることのできる光の量を示すもので単位をアルファベットの"F"で表します。F1.4、F2.8、F5.6、F11、F22 などがあり、この数字が小さいほど光をたくさん通すことができる明るいレンズとなります。絞りについては、別の機会にもう少し詳しくお話しするつもりですが、ここでは単にレンズの明るさを示す数字と覚えておきましょう。

絞り開放値

EF50mm F1.4 USM
焦点距離が50mmに固定された単焦点レンズで絞り解放値はF1.4です。

EF24-105mm F4L IS USM
焦点距離を24mm〜105mmの間で変化させることのできるズームレンズで、絞り開放値はF4です。

AF-S DX NIKKOR 18-105mm F3.5-5.6G ED VR
焦点距離が18mm〜105mmのズームレンズで、絞り開放値がF3.5〜F5.6の間で変化するレンズです。

え?レンズの明るさも変化するの?と思われた方、するどい!
廉価版のズームレンズは、その構造上の理由から絞り開放値が変化する物があります。「18-105mm F3.5-5.6」のレンズの場合、焦点距離が18mm側では絞り開放値がF3.5になり、105mm側ではF5.6と暗くなるという意味になります。

単焦点レンズとズームレンズ

 焦点距離を変えられるレンズをズームレンズと呼び、焦点距離が固定されたレンズを単焦点レンズと呼んでいます。広角域ズームレンズ、標準域ズームレンズ、望遠域ズームレンズ、広角から望遠まで幅広く対応できる高倍率ズームレンズなどがあります。

EF 50mm 1.8 II

手振れ補正

 焦点距離が長くなればなるほど、ほんのわずかな動きや振動で手振れがおきやすくなります。このため手持ちでの撮影は困難で、早いシャッタースピードが選べないシーンでは三脚に固定して撮影することがほとんどでした。しかし最近ではレンズやボディ本体に手振れを補正してくれる機構が内蔵された製品も多く見られるようになり、手持ちでもある程度の手振れを抑えた撮影が可能になりました。CanonやNikonの場合、レンズ内に手振れ補正機構を内蔵しているため、専用レンズ(Canonでは"IS"、Nikonでは"VR"と表示されています)でしか手振れを抑えることはできません。これに対しPENTAXや OLYMPUSのデジイチはボディ本体に手振れ補正機構を内蔵しているため、どのレンズを付けても手振れ補正の恩恵を受けることができます。

CANON IMAGE STABILIZER

レンズの種類と用途

  • 広角レンズ
    広角レンズ(10mm)  焦点距離が35mm以下のレンズを言い、文字通り広い範囲を写すのに適しているレンズです。狭い部屋の中を隅々まで写したい場合や、遠近感を強調したいときなどに使います。ピントの合う距離(範囲)が広く、手前から奥までピントの合った写真を撮りやすいレンズです。

  • 標準レンズ
    標準レンズ(50mm) 35mm フィルムのサイズ24mm×36mmの対角の長さである43.3mmに近い、焦点距離50mmのレンズを指します。数あるレンズの中で焦点距離が決まって いる唯一のレンズです。ボクが子供の時分には、人間の目で見た画に一番近いと言われていましたが、どうやらこの情報は間違いのようで、ズームレンズがな かった時代にメーカーが標準で付属していたレンズというのが正しいようです。

  • 望遠レンズ
    望遠レンズ(300mm)  焦点距離が85mm以上のレンズを指し、遠くのものをあたかも近くにあるかのように拡大し写すことができるレンズです。ポートレイト撮影などに重宝され る近接望遠から、スポーツシーンや野鳥撮影等に使われる超望遠レンズなどがあり、焦点距離が長くなるほどピントの合う距離が狭くなります。また近い物には ピントが合わせにくくなるという特徴を持ちます。

  • マクロレンズ
    マクロレンズ(60mm)  被写体を至近距離から撮影することができるレンズ。花や昆虫など、小さな物を大きく写したいときに使います。ピンとの合う範囲が狭く、近接撮影ではよりしびやなピント合わせが要求されるため、手動でのピント合わせを多用することもあります。




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#8 明るさのコントロール 後編

2008/08/30 Sat [Edit]

HD-011

 前回はカメラは明るさをどのように感知しているのかという機能的な観点から適正露出を決定するための原理・原則についてお話しをしました。この原理・原則を理解しつつ応用することで、意図的に明るさをコントロールできるようになります。そこで後編は、より一般的なシーンでの明るさのコントロールテクニックについてお話ししてみたいと思います。

 カメラの露出計が明るさを計測することを”測光”といい、この測光した範囲が適正露出(18%グレーの反射率)に近づくようカメラは露出値を決定します。上の写真は人物にかかった影を境に、明るい部分を測光して撮影した写真です。この場合カメラは測光した明るい部分が適正露出になるよう露出を決定するため、影に入った人物の顔は暗く写ってしまいます。この写真では意図的に明るい部分を測光して撮影していますが、初心者の方は自分のカメラがどの部分を測光しているのか分かっていない人も多いのではないでしょうか。そこでまず、カメラの”測光モード”という機能から説明していきましょう。

 デジイチにはファインダーのどの部分を測光するのかを選択することができる”測光モード”という機能があり、撮影者の意図や状況に応じてこのモードを切り替えて使うことができます。では、ご自分のカメラにどのような測光モードがあるのか、またどのような場面で使用するのかを見てみましょう。

※各測光モードの呼び名はメーカーによって異なります。ここではCanonの場合で紹介しますが基本的な機能は他のメーカーでも同じです。

評価測光(Nikon:マルチパターン測光)
ファインダーに写った画像をいくつもの格子状に分割し、明るさがどのように分布しているのかをカメラに搭載されたコンピューターが分析・計算した結果、そのシーンに最もふさわしいであろう露出値をカメラが決定します。これにより逆光下や明暗差の多い場面でも適正露出が得られやすいモードで、露出はカメラ任せにしたいという場合に使います。

中央部重点平均測光
ファインダー中央付近に重点を置いて、画面全体を平均的に測光するモードです。画面全体を見つつ中央付近に主役となる被写体がある場合に使います。

部分測光
画面中心部のみを測光します。逆光下やスポットライトで照らされた被写体など、狭い範囲を測光したい場合に使います。
※Nikon製品には部分測光にあたるモードがないようです。この場合、スポット測光で代用します。

スポット測光
部分測光より範囲が狭く、画面中心部1点のみをピンポイントで測光します。より狭い範囲を測光したい場合に使います。
※ 機種によってはスポット測光が搭載されていない場合があります。その場合、精度は落ちますが部分測光で代用します。

HD-012

 Canon EOSシリーズでは、測光モードが評価測光で、AFフレームが自動選択または任意選択の場合、シャッターボタンを半押しするとAFロックと同時にピントの合ったAFフレームを中心に測光します。(ちょっと専門用語が多くなってきましたね...)このことと適正露出の原理・原則を理解しておくと、意図的に明るさをコントロールできるようになります。
具体的には以下の手順です。
  1. ピントを確実に合わせるため、AFフレームを中央に設定(#5 AFロック参照)
  2. 測光モードをスポット測光(スポット測光がない場合は部分測光)に設定
  3. 測光したいポイントに画面中心(AFフレーム)を合わせAFロック(シャッターボタン半押し)する
  4. AFロックしたまま構図を取り直してシャッターを切る
 下の写真では陰になった顔をAEロックしてから構図を取り直してシャッターを切っています。こうすることによって構図を変えても陰になった顔を適正露出に固定したまま撮影することができます。

HD-013

 但し、この方法だと、ピントを合わせたい部分と適正露出を決定したい部分が別々な場合には使えません。例えば下の写真のように、背景を測光しつつ手前の犬にピントを合わせることでシルエットを生かしたシーンを撮影したいときなどがそれにあたります。

HD-014

 そこで”AEロック”の出番です。AEロックとは、測光で得た適正露出値を一時的にカメラに記憶・固定してくれる機能のことで、ピント合わせと露出設定を別々に行うことができるようになります。シャッターボタンとは違う独立したAEロックボタンで操作し、たいていはカメラを構えたときの右手親指付近にそのボタンはあるはずですが、例によってその位置と操作方法は取扱説明書で確認しておきましょう。(AFロックと混同する場合があるので注意してください。)

手順は以下の通りです。
  1. ピントを確実に合わせるため、AFフレームを中央に設定(#5 AFロック参照)
  2. 測光モードをスポット測光(スポット測光がない場合は部分測光)に設定
  3. 測光したいポイントに画面中心(スポット測光範囲)を合わせ、AEロックボタンを押す
  4. ピントを合わせたいポイントに画面中心(AFフレーム)を合わせAFロック(シャッターボタン半押し)する
  5. AEロックとAFロックを押したまま構図を取り直してシャッターを切る
コツは、AEロック→AFロック→構図を決める→シャッターを切る、この一連の動作をテンポ良く素早く行うことです。また、AEロックボタンを押したままシャッターを切る癖を付けておくとミスショットが少なくなります。

 このテクニックではピントと露出を画面中央の同じポイントで決定しているため、シーンが変わっても悩まず同じ手順で撮影できるというメリットがあります。一方、スポーツシーンなど一瞬を捉えたい場合や、動き回る被写体を連続撮影したい場合にはAF・AEロックができないので不向きです。僕の場合、ポートレートなどほとんどカメラを動かすことのない被写体の場合は、AFフレーム中央一点選択とスポット測光モードの組合せでAEロックを駆使しながら撮影し、スポーツシーンなど流し撮りを多用するシーンやシャッターチャンスを逃したくないシーンなどでは、評価測光とAF自動選択または任意選択の組み合わせで使っています。もちろんこの方法は僕が好んで使っているテクニックの一つで、決してこの方法じゃなきゃいけないと言うことはありません。自分にあった手法を見つけるための一つの例として参考にしていただければ幸いです。

 さて、駆け足で説明してきましたが、今回のお話は明るさをコントロールする上でのほんの基本にすぎません。でも、このテクニックを自分のものにできれば、きっとステップアップできたと感じていただけるでしょうし、なにより写真を撮ることが楽しくなっていただけることと思います。

HD-015

#7 明るさのコントロール 前編

2008/03/31 Mon [Edit]

適正露出

 人物の顔が暗く写ってしまった、逆に明るすぎて白く飛んでしまったという経験はありませんか?最近のコンデジには、人の顔を認識して最適な明るさに調整してくれる便利な機能が搭載された機種もありますが、これが人間ではなく動物や花だったらどうでしょう?残念ながらカメラは撮影者の意図までは認識してくれません。上の写真は顔の部分に影が落ちていたため、顔が暗くなってしまった失敗例です。こんな失敗を気にすることなく、写真の明るさを思い通りにコントロールできたらきっと楽しいですよね。そこで写真の明るさを自在に操るテクニックを2回に分けて紹介したいと思います。今回はまず、カメラは明るさをどのように感知しているのかについてお話ししましょう。

 さて、みなさんは”露出”の示す意味をご存じですか?写真の世界では、フィルムや影像素子が受け止めた光の量のことを”露出”と呼んでいます。単純に光の量=露出量と言ってもいいかもしれません。この露出量が多すぎると明るく白飛び(オーバー)してしまい、逆に少なすぎると暗く黒つぶれ(アンダー)になるという性質を持っています。そして明るすぎず暗すぎない、ちょうど中間の明るさを”適正露出”と言い、写真にとっての明るさの基準とされています。

 ここで簡単な実験をしてみましょう。下に異なる濃さの画像を二枚用意しました。この画像を以下の要領で撮影してみてください。
  1. 撮影モードを「絞り優先モード」に設定
  2. ISO感度を400に設定
  3. 測光モードを評価測光に設定
  4. パソコンのモニターの明るさを白飛びしない程度に明くるく調整
  5. Aの画像をクリックし、表示されたウィンドーサイズを最大画面表示
  6. パソコンのモニターにできるだけ垂直になるようカメラを構え、画像の赤い枠がファインダーから見えなくなる位置で撮影してください
  7. 同様にBの画像も撮影します
※多少ピントが合っていなかったり、手振れしていても問題ありませんが、部屋の明るさが暗い方がいいでしょう。また、モニターの種類によってはマダラ模様が入ることがありますが、ここでは濃さだけを見てください。

lm_sheet_10lm_sheet_50
AB
 カメラの背面液晶で、今撮影した二枚の画像を表示し比べてみてください。どうです?違いが分かりますか?うまく撮影できていれば、二枚の画像の濃さ(明るさ)はほぼ同じように見えるはずです。オリジナル画像の濃さは違うのになぜでしょう?

 コンデジを含むオートフォーカス式のカメラには、被写体が反射している光の量を計測する”反射光式露出計”と呼ばれる露出計が内蔵されています。この露出計が計測した光の量により、明るすぎる場合は暗く、暗い場合は明るくと、”適正露出”に近づくようカメラがシャッタースピードや絞りを自動的に設定してくれているのです。これを”自動露出”と呼んでいます。では、カメラは何を基準に適正露出を決めているのでしょう?

 写真業界では自動露出によって「被写体の反射率が18%の場合に適正露出が得られるように設定すること」と決められています。つまり、すべての写真はカメラの露出計が捉えた明るさを反射率18%グレーの濃さで塗りつぶされた板の反射率に近づくよう自動調整され、白い被写体も黒い被写体も、同じような灰色に写るということです。これで、先ほど撮影した画像が同じような濃さで撮れた理由が分かっていただけたのではないでしょうか。

 ところで、反射率18%グレーってどのくらいの濃さなんでしょう?真っ黒の板を反射率0(ゼロ)%だとすると、反射率18%グレーの板の濃さは、印刷物の単位で表すところの82%グレーに相当します。かなり濃いグレーですよね。

反射率18%グレー比較

 だからといって白い壁や黒い被写体を撮影してもこの82%グレーになるわけではありません。あくまで自動露出で反射率18%に近づけたとき、明るさの中間が得られるわけですから、実際に写る濃さを表すと下の画像のような50%グレーになるはずです。

50%グレー

 ということで、本当に50%グレーになるのか実験してみました。下の画像の両端は白い紙と黒い紙をそれぞれ適正露出になるよう、絞り優先モードで撮影した画像です。中央は、50%グレーをPhotoshopで再現した画像です。どうでしょう?オリジナルが白・黒・中間であることを考えると、かなり近い濃さになっていると思いませんか?

適正露出比較

 ここで、あることに気づきます。「これじゃあ白いモノは白く、黒いモノは黒く撮れないじゃん!」そうです。カメラ任せの自動露出に頼りすぎると、本来自分が表現しようとしていた明暗とはかけ離れてしまう場合があります。例えば、雪原や夜景など、画面の大半を極端な明暗で覆われている被写体がそれにあたります。また、最初の写真のように明暗の差が極端な場合、カメラはどちらの明るさに適正露出を適応すればよいのか分からず、撮影者の意図とは違った結果に写る場合があります。でも、適正露出の理屈を理解してしまえば、明るさをコントロールすることができるようになります。

 デジイチにはカメラが決定する適正露出を、明るく、または暗くと手動で微調整調整する機能があり、これを”露出補正”と呼んでいます。(※露出補正の操作方法はメーカーごとに異なります。いつものように取扱説明書で操作方法を学習しておきましょう。)白い被写体がグレーではなく、現実に白く見えるよう撮影するためには、カメラが自動で決定する適正露出より明るくなるよう補正すればいいわけですから、露出補正を+(プラス)側に設定します。逆に黒い被写体の場合は-(マイナス)側にします。

 ここで気になるのが、どのくらい露出補正すれば良いのかということですが、その値は環境光や被写体の反射率によって変わってきます。これは経験を積み感覚で覚えるほかないのですが、結婚式など撮り直しがきかない場合は、露出補正値を何段階かに分けて撮影しておくと安心です。いちいち手動で補正値を変えるのは面倒だよ!という人は、取扱説明書で”段階露出”または”ブラケッティング”を探してみてください。きっと役に立つと思いますよ。

 さて、今回は画面全体が、白、または黒一色に近い状態で覆われている場合について説明してきました。これがカメラが適正露出を決定するための基本。つまり原理・原則になります。でも、実際には複雑な明暗が入り交じったシーンを撮影する機会のほうが多いはずですよね。そこで次回後編では、より一般的なシーンで明るさをコントロールする方法をご紹介しましょう。

#6 構図の話

2008/03/16 Sun [Edit]

ミツバチ

 自分の撮る写真がいつも単調でつまらない・・・と感じたことはありませんか?ありがちなのが主役となる被写体がいつも画面の中心にある写真。そんな写真を日本の国旗に見立てて、「日の丸構図」なんて呼ばれています。例えば人物を撮影する場合、一番の主役となるのはその人物の顔になりますよね。撮影者はその顔を画面に収めなければいけないと思うばかりに、無意識に顔を画面中央に置いて撮影しようとする傾向があります。その結果、どの写真も主人公がド真ん中に写っている単調な写真ばかりになりがちです。今回は、そんな単調な写真を抜け出すためのテクニックについてお話ししたいと思います。

 違う人が同じモノを撮ったのに、撮れた写真は三者三様。その違いは、高さだったり、角度だったり、空間の使い方だったりするわけです。四角いフレームの中に被写体をどう配置(フレーミング)するかで写真は大きく変わります。この、どのように配置するかが「構図」です。写真の構図の話になると必ず持ち出されるのは、黄金分割だの二分割法だの三分割法だのと、難しい理屈が説明されていることが多いと思います。でも、僕はそんなこと気にしたこともありません。要はファインダーを通して見える景色を一枚の絵に見立て、ファインダーの四隅(フレーム)一杯を使って、自分が気持ちいいと感じるよう切り取ればいいわけです。

 では、気持ちの良い構図を見つけるためにはどうしたらいいでしょう?動く被写体でない、または自分でモノを動かせる状況でない限り、ただ突っ立っていても配置や構図は変わりません。時には地面すれすれから見上げてみたり、逆に台に登って見下ろしてみたり、水平ばかりじゃなくて傾けてみたり、ピントが合う最短距離までグッと近づいてみたり、わざと主役を半分画面からはみ出させてみたりと、前回紹介したAFロックを駆使して自分が動き回りながら気持ちのいい構図を見つけてください。

 そう言われてもやっぱりよく分からん。という人のために、構図を作る上で僕が注意している点をいくつかご紹介しましょう。

空きの配置に気を配る

 始めにお話しした日の丸構図が決して悪いわけではありません。要は、その構図にした理由が感じられればいいわけです。例えば下の写真は典型的な日の丸構図ですが、奥行きや広がりを感じてもらうために、あえてこの構図にしています。そして僕が理由を作るために特に気を配るのが「空き」の使い方です。多くの場合、不安にさせる構図より、安心して見ていられる構図のほうが好まれます。この安心して見られる構図になるよう空きを意識しているんです。

日の丸構図

 下の写真は極端な例ですが、Bの写真よりAの写真のほうが窮屈な感じがしませんか? これは、目線の方向に空間の空きがある方が圧迫感がなく安心するからです。逆に、緊張感を感じてもらうために、あえて不安に感じるような空きにすることもあります。このように空きの配置は見る人の印象を左右する重要な要素なのです。

空きA
A:目線方向に”空き”がない。

空きB
B:目線方向に”空き”がある。

もう一工夫の変化
 気持ちのいい構図を考えた場合、先ほどの安心して見られるということも必要ですが、よく見る景色や構図はあまり気持ちいいと感じない、つまり飽きられた構図になりがちです。そこで、できるだけ日常目にしないであろうアングルや、角度を付けて不自然にしてみたりと一工夫することで、意外性のある新鮮な構図になることがあります。

 初めのうちはこの意外性を見つけるのはなかなか難しいかもしれません。そこで、ファインダーを覗きながら、一度決めた構図を、そこからもう少し寄ってみたり、角度を変えてみたりと変化させてみてください。いつもと違った新しい世界が見えてくるかもしれませんよ。

脇役を考える
 ドラマや映画では主役を引き立てるために脇役の存在が重要ですよね。写真も同じ。脇役の扱い方で印象が変わってきます。では、写真にとっての脇役って何でしょう?それは先ほどの空間(空き)だったり、ボケ味だったり、コントラストや色彩だったり、背景だったり、主役との関係性だったりと、いろいろな要素が考えられます。この脇役の使い方や配置によって主役をグッと引き立て、よりドラマチックに演出することができます。

 下の写真では、子供が主役です。登ってきた階段と、目線の先に見える空きの両方を脇役として入れることで、主役の置かれた状況を把握でき、現在・過去・未来を予見することができます。また、わずかに傾けることで、”動き”を強調しています。

階段構図


 今回のコラムを読み終えた後、当ブログの過去の写真を見返してみてください。今まで気づかなかった構図の意味が分かってもらえるかもしれません。始めにお話ししたように配置や構図は三者三様。自分が気持ちいいと感じる構図かどうかを意識して撮影することで、自然とあなたらしさが生まれてくるのではないかと思います。

ミツバチ

#5 AFロック

2008/03/08 Sat [Edit]

AFロック5

 オートフォーカスとは読んで字のごとく、カメラが自動的に判断しピントを合わせてくれる便利な機能のことです。ですがこの機能に頼りすぎると、時に意図しない場所にオートフォーカスしてしまうことがあります。例えば、上の写真では後ろのキリンにピントを合わせたいのに、手前のペリカンにどうしてもピントが合ってしまいます。これはファインダーの中心付近にある物、更に手前にあるものを優先的にピントを合わせようとカメラが自動的にピントを調節してしまうためです。今回は、このような失敗を防ぐため、オートフォーカスを使いながらも、狙った場所にピントを合わせられるテクニックについてお話ししたいと思います。
と、その前に、以下の操作方法を取り扱い説明書で確認しておいてください。

1.シャッターボタンの半押し
2.AFフレーム(測距点)の選択
3.ファインダー内表示の合焦マークの確認
※このコラムでは、専門用語をキャノン製品の取扱説明書に記載されている呼び名で説明しているため、他社製品では表現が異なる場合があります。

 ファインダーを覗くといくつかの□や[ ]のような印が見えると思います。この印の部分を「AFフレーム(測距点)」といい、カメラはこの部分に重なった被写体にオートフォーカスします。僕が使っているCanon EOS 30Dや、最近発売されたばかりのCanon EOS Kiss Digital X2 ではこのAFフレームが、中央を含め合計9ヶ所あり、任意の点を選択するモードと、9点全てのAFフレームを自動選択してオートフォーカスするモードの2種類から選べるようになっています。一見、9点全てを使った自動選択の方が便利で楽な気がしますが、先にお話しした理由から意図しない場所にオートフォーカスしてしまうことがあるので、僕は常に中央1点のAFフレームだけを使っています。それじゃあど真ん中にピントの合った写真しか撮れないじゃん!と思われるかもしれませんが、そこでAFロック(フォーカスロック)というテクニックが必要になってくるのです。
文章を読んでいるだけでは分かりづらいと思うので、実際にやってみましょう。

まず、カメラを以下のように設定してください。

1.撮影モードを「絞り優先モード」に設定してください。
2.フォーカスエリア選択で、ファインダーの中央1点に設定します。

それでは、ピンと合わせから撮影が行われるまでを見てみましょう。

 ピントを合わせたい被写体に、ファインダー中央のフォーカスエリアを重ねてシャッターボタンを半押ししてみてください。ファインダー内表示の合焦マークが点灯しピントが合うはずです。でも、このままだとファインダー中央にあるモノにしかピントが合わせられないですよね。そこで、シャッターボタンを半押ししたまま、カメラを左右上下に動かしてみてください。オートフォーカスを固定したまま構図を変えられることが分かるでしょうか?そのままシャッターボタンを押し込めば、構図を変えても意図したポイントにピントを合わせたまま撮影することができます。この時、覚えておいて欲しいのは、シャッターボタン半押し状態でピントが合う距離が固定されるということで、カメラから被写体までの距離が変わると、ピント位置が変わってしまいます。つまり、構図を決めている間は、カメラから被写体までの距離(前後)をできるだけ変えずに動かす必要があるということです。ちょうど、カメラの中心を軸にゆっくりと上下左右回転させる感じですね。もうひとつ、半押しした状態からシャッターを切るまでの間に一旦指を離してしまうと、その時点でAFロックは解除されてしまいますのでこの点にも注意してください。

AFロック1
この状態でシャッターボタンを半押しすると、中央の花にオートフォーカスします。

AFロック2
いったん、片方のボトルにAFロックします。

AFロック3
AFロックしたまま左右のボトルが画面に収まるよう構図を取り直してシャッターを切ると、ボトルにピントが合った状態で撮影することができます。

 AFロックの説明ついでに簡単なテクニックをもう一つ。先ほど被写体までの距離が変わると、ピント位置が変わってしまうというお話をしましたが、これを利用する方法です。AFロックした状態で、カメラを前後(自分の体を前後させる感じ)させると、カメラのオートフォーカスを固定したまま、ピントの合う位置を変えることができます。これはマクロ撮影(接写)をするときに多用するのですが、微妙なピント位置を調節するのに覚えておくと便利です。但し、ピントが合っているかどうかは、自分の目で確認する必要があります。

 カメラのちょっとした機能やテクニックを知ることで、写真の表情はガラリと変わります。以前のエントリーでもお話ししましたが、カメラ任せではなく、自分が思う通りにカメラを操れるようになることがデジイチの楽しみでもあり上達への近道です。

AFロック4

#4 カメラの持ち方・覗き方

2008/03/01 Sat [Edit]

利き目

 写真を撮る上で最も基本となるのが持ち方・構え方です。カメラをしっかりと固定してシャッターボタンを押せないとカメラが動いてブレた、いわゆる手ブレ写真になってしまいます。たまになんとなくシャープさに欠けた写真があるんだよなぁ。という人は、手ブレが原因なんてこともあるかもしれません。せっかくいいシーンが撮れたのに、手ブレやピンぼけだったらがっかりですよね。案外、手ブレしている写真に気づいていない人って多いんじゃないでしょうか? 未だに僕も、ちゃんと撮れているように見えていて、拡大するとブレてるなんてことがあります。基本中の基本ですから、しっかりと構えられるように練習しましょう。実際の持ち方や構え方については取扱説明書に図解入りで詳しく載っていると思いますのでそちらを見ていただくとして、今回はファインダーを覗く目についてお話ししたいと思います。

 皆さんはファインダーを覗くとき左右どちらの目で覗いていますか?ファインダーを覗く目は右左どちらでも良いとされていますが、基本的には利き目で覗いている人が多いのではないでしょうか。ところで、ご自分の利き目が分からないというかたのために、簡単な調べ方をご紹介しておきましょう。まず、両目を開けたまま、できるだけ遠くにある一点を、腕をぴんと伸ばした状態で人差し指の先端で隠します。指はそのまま動かさず、右目だけ、左目だけと、左右交互に目を閉じてみましょう。少し早いリズムで踏切の点滅ランプよろしくパチパチとウィンクする感じです。その時、指さした一点が指で隠れている方が利き目です。以前、何度やっても両目とも同じように指さしたはずの点から離れているという人がいましたが、この人は左右平均的に見ているということになるんでしょうかね?不思議です。ついでに利き手の調べ方についても紹介しておきましょう。両の手のひらをキリストにお祈りをする形で合わせて握ります。この時、親指が手前に来ている方が利き手になります。もう一つ、両腕を胸の前で組みます。この時、上になった方の腕が利き手になります。ちなみに僕は右利きですが、左の親指が手前、右腕が上でした。紹介しておいてなんですが、利き手の調べ方に関しては個人差がありそうですね。

 どちらの目で覗いた方がいいの?と聞かれたら、僕は右目で覗くことを勧めています。なぜかというと、デジイチのファインダーは、本体の左寄りに付いていることが多く、右目でファインダーを覗いた状態でも左目で前方を確認できるようになっています。右目でファインダーを覗き構図を確認しながら、同時に左目でフレームの外を意識してシャッターを切ることができるため、カメラの前を横切る被写体を、背景や構図を意識したまま撮影することができます。タテ構図で撮る時も、左目の視界を確保するため、シャッターボタン側(右側)を上にして構えるようにしています。もし、右目が良いのか左目が良いのか悩まれた場合は参考にしてみてください。
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